概要
スーパーファミコンは映像出力用ケーブルとして「AVケーブル」「S端子ケーブル」「RGBケーブル」の3種類が公式から販売されている(後ろにいくほど高画質)。スーパーファミコンの高画質化をはかる際にはこれらの違いを調べることになるが、私が調べた際はその用語の多さで混乱したため、以下のとおり整理した。商品名称 | 型番 | 映像信号の規格 | 端子の規格 | 備考 |
---|---|---|---|---|
AVケーブル | SHVC-007 SHVC-008 |
コンポジット映像信号 | RCA端子(映像用が1つ) | 赤白黄のケーブルのうち、黄色が映像で赤白は音声。モノラルAVケーブルは白黄のみ。 |
S端子ケーブル | SHVC-009 | コンポジット映像信号を2つに分離したもの | ミニDINコネクタ(4ピン) | 「S端子」という名前なのだから、誤解がなければ端子を「S端子」と呼ぶのは問題ないと思う。 |
RGBケーブル | SHVC-010 | RGB映像信号 | RGB21ピン | 端子の形状はSCART端子と同じだが、端子配列や機能が一部異なる。 |
(コンポーネントケーブル) | 純正品なし | コンポーネント映像信号 | RCA端子(映像用が3つ) | RGBケーブルと同等? |
詳細
■全体スーパーファミコンで使用するケーブルはすべてアナログケーブルであり、モニターのHDMI端子などに接続する(デジタル信号に変換する)場合はアップスキャンコンバータを使用する。
「◯◯ケーブル」にいずれかの規格名を入れて呼ばれるため、同じものでも複数の呼び名がある。スーパーファミコンの場合だと「AVケーブル」「コンポジットケーブル」「RCAケーブル」はすべて同じものを指す可能性がある(三色ケーブルとかもある?)ので、検索するときには注意がいる。
■商品名称
正しい商品名称としては「アナログAVケーブル」「ステレオAVケーブル」の2種類があるが、音声の違いだけなので、ここではまとめて「AVケーブル」と記載した。
■映像信号の規格
映像を記録するには3変数あればよく、RGB(赤緑青)が典型的な例。アナログテレビ等で使用する映像信号はRGBではなく、輝度信号1つと色差信号2つを用いる(コンポーネント映像信号)。この点でRGBケーブルとその他のケーブルは異なっている。
コンポーネントケーブルは3つの信号を3本のケーブルでそのまま伝送する。AVケーブル(コンポジット映像信号)は3つの信号を1つにまとめて伝送し、S端子ケーブルはコンポジット映像信号を輝度信号と色信号の2系統に分離して伝送する。信号をまとめるほどノイズが増加するので、コンポーネントまたはRGBが最も高画質、次にS端子、最も画質が低いのがAVケーブルとなる。
画質の差の理由を説明するために単純化した内容を述べたが、事はそう単純ではないので、詳細は各自で調べてほしい。
■端子の規格
ミニDINコネクタで他に有名なものは、マウスやキーボードを接続するPS/2コネクタがある。
RGB21ピンのケーブルとSCART端子のケーブルは形状が同じなこともあり(?)、変換ケーブルをよく見かける。しかし、RGB21ピンのケーブルとは異なり、SCART端子のケーブルは輝度・色差信号を扱うことができる。
■その他
上で取り上げなかったアナログケーブルとしてD端子ケーブルがある。D端子ケーブルはコンポーネント映像信号のほか、識別信号なども伝送することができる。
純正品ではないものを含めると、スーパーファミコン用のコンポーネントケーブルが販売されている。これはおそらくRGB映像信号をケーブル内でコンポーネント映像信号に変換していると思われる。
2021.05.23 初版